役員や使用人(従業員)に社宅を貸与する場合には、その役員や使用人から1か月当たり一定額の家賃(賃貸料相当額)を受け取っていれば、給与として課税されないこととされています。詳細は国税庁のタックスアンサーをご参照ください。
(参考)役員に社宅を賃貸した場合の取扱い(国税庁タックスアンサー)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2600.htm
(参考)使用人に社宅を賃貸した場合の取扱い(国税庁タックスアンサー)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2597.htm
賃貸料相当額は、固定資産税の課税標準額(評価額)を用いて計算しますので、固定資産税の評価証明書を確認する必要があります。
(参考)社宅に係る通常の賃貸料の額を計算する場合の固定資産税の課税標準額(国税庁質疑応答事例)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/04.htm
固定資産税の評価証明書は、物件の貸主に提示をお願いするか、借家人の権利を有する者の立場でその物件が所在する市町村(東京23区は都税事務所)に申請する必要があります。借家人の権利を有する者が評価証明書を申請できる根拠は、地方税法382条の3、地方税法施行令52条の15です。
ここで、その物件の土地と家屋の所有者が異なる場合(家屋の所有者が土地を借りている場合)、家屋の所有者とのみ賃貸借契約書を交わしていますので、家屋については評価証明書が取得できるものの、土地については賃借権を有していないとして市町村から評価証明書の取得が断られる場合があります。
しかし、地方税法施行令52条15には、「二 家屋について賃借権その他の使用又は収益を目的とする権利(対価が支払われるものに限る。)を有する者」は「当該権利の目的である家屋及びその敷地である土地」について「固定資産課税台帳に記載をされている事項」に係る証明書を交付しなければならないと規定されていますので、こちらの根拠を市町村の担当者に提示することで、土地についても(所有者から直接借りていなくても)評価証明書を取得できるものと考えられます。
弊事務所でもこのような例がありましたので、備忘録として残しておきます。
なお、その物件がいわゆるサブリース形式で、不動産会社が所有者から賃借した物件の転貸を受けている場合は、市町村に評価証明書を申請することは難しくなります。市町村に評価証明書を申請する際に、不動産会社との賃貸借契約書のみでは物件の所有者に対してその家屋の賃借権を有することが証明できないため、所有者と不動産会社との契約書も求められてしまいます。よって、市町村に評価証明書を申請するよりも、不動産会社に評価証明書(または固定資産税の評価額)の提示をお願いした方が現実的と言えます。